【書評】玉城入野『フィクションの表土をさらって』

玉城入野さんの著書『フィクションの表土をさらって』(洪水企画)に収められている、映画『トラック野郎』論(「ハイマートロス一番星」「明日はわが身の一番星」)がとてもおもしろい。

娯楽映画の『トラック野郎』から、故郷喪失者の物語を読み取り、そこに原発事故の避難者を重ねて、震災後のいま「故郷」というものをいかに捉えるべきかという議論に結びつけている。

批評の展開に、ミステリの謎解きのような楽しさがあり、ぐいぐいと引き込まれる。

そして泣けてくる。

なぜ泣けてくるかというと、原発事故の避難者の方々の苦難を「明日はわが身」として受け止めていることと、批評の中で提示されている〈思想〉に、これからの社会を考える上での希望が感じられるからなのではないかと思う。

これを映画『トラック野郎』の批評というスタイルで書いているのだからすごい。

批評というジャンルの底力を見せられたような文章だった。

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